ずっと、永遠にあなたの側にいたいと願っていた───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シリウス、」

 

黒髪を靡かせてシリウスは後ろを振り返る。

「レグ」

「ひどいじゃん、駅で急に消えたりして」

彼を責める風ではなく、微笑みながら言った。そうするとシリウスも微笑んだ。

「悪かったな…親と一緒にいるのが嫌だったんだ」

おっそうだった、と彼は改めて僕を見た。

「ホグワーツ入学おめでとう、レグルス・ブラック。俺の思ってた通り、スリザリンだったな」

「ありがとう。でも、僕はシリウスと同じ寮がよかったな」

「馬鹿、そんなコト絶対親に言うなよ。ついでに言うけど、お前だったらグリフィンドールに入ることは決してない」

「どうして?」

そこでシリウスはにやりと笑った。

「お前はグリフィンドールに入るよりスリザリンに入りたいという『望み』が強いからさ」

「確かにそうかも…」

「だろ?」

お互いくすりと笑う。

 

 

「ひぇーブラック家の七不思議!みんな顔がお人形さんのようだ♪」

 

 

突然会話に入り込んできた間延びした声の持ち主を二組の薄灰色の双眸が見つめた。

そして先に口を開いたのはシリウスだった。

「ジェームズ、」

「やぁシリウス、それに…弟君?」

「………ハジメマシテ」

「わぁお、怒った顔がシリウスそっくり」

───殴っていいだろうか?

 

僕がシリウスを見上げると彼は苦笑して相手を紹介した。

「コイツはジェームズ・ポッター。俺の親友」

「よろしく」

「ジェームズ、俺の弟のレグルス・ブラック」

「さっきの組分けで名前聞いたよ」

「そぉか」

「それにしても、」

ポッターがにやりと笑った。随分胡散臭い笑い方だった。

「君達、ホントそっくりだねぇ〜。あっ、でもレグルスの目はシリウスの目とは違うね」

「レグは父親似、俺は母親似。二親とも先祖は一緒だからあんまり変わらない」

ポッターは失礼すぎるくらいじろじろと僕やシリウスを観察し始めた。

「…ジェームズ?」

「…二人で写ってる写真売ったら高く売れるかも」

「聞こえてんぞ?」

「聞こえないフりしてくれ」

「もしそんな写真出回ったら二度と人前に出れない顔にしてやる」

例えば顔をイボだらけにするとか、とシリウスはにやりと笑った。ポッターもそれに応じてシリウスと同じ笑い方をした。

「じゃあ僕は、人前で君に恥ずかしいことをしようかな。例えば」

「いい、もう言うな」

シリウスは片手で顔を覆った。

 

 

───気に食わない。

ポッターが。シリウスと話す彼を見ていると非常に腹が立つ。

 

 

わざとらしく大きな咳払いをした。それに気付いたシリウスがまとめた。

「っつー訳でレグ、こーゆー奴だから関わるとロクなことがないから気を付けろ」

「オッケーシリウス」

僕のことより自分の方こそ気を付けてね、シリウス。

「兄弟揃って僕を苛める気かい?」

苛めるというより呪い殺したいよお前を。

「じゃあな、レグ」

「君とコイツのツーショット撮らせてくれよ!」

「絶対ヤだね。バイバイ、シリウス。お休みなさい」

「あぁ、良い夢を」

 

 

 

 

 

 

少し歩いてちょっと後ろを振り返ると、シリウスとポッターは楽しそうにくすくす笑い、

肩を並べて自分とは正反対の廊下へと消えていった。

 

 

 

───気に食わない。

自分の大事な人を取ったポッターに、そしてそれに嫉妬する自分に。

 


ヤキモチレギュたんホグワーツ入学。

06/12/24