始り

 

 

僕の名前はおじいちゃんが名付けた。

僕のミドル・ネームはおじいちゃんの名前からである。

僕はおじいちゃんの家によく遊びに行って、

裏の山できのこ狩りや川で魚釣りなんかもした。

おじいちゃんは僕が山へ行く時、かならず

「暗くなる前に家に帰るように」

と少し厳しく言い聞かせた。

なぜ、山へ行くたんびに言われるかはその時はわからなかった。

 

 

 

僕がきのこ狩りに夢中になっていたら

もう暗くなってしまった。

5歳の僕は急ぎ足で山を下った。

普段は優しいおじいちゃんだが怒ったら怖かったからだ。

おじいちゃんの家の明かりが見え、走っていこうとしたら後ろで唸り声が聞こえた。

僕は足を止めて後ろを振り返った。

 

 

 

 

それが僕の記憶の最後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外では小鳥の囀りが聞こえる。

僕は重たい体を起こした。

また朝が来たのだ。

「嫌な夢をみたなぁ・・・」

僕が狼人間に噛まれた時の夢。

あれから僕の人生が変わった。

今は町外れの小さな家で父さんと母さんと3人で暮らしている。

僕が人狼にさえならなければ「町外れの小さな家」に住まなくてもよかった。

僕が狼人間に噛まれた時おじいちゃんが助けてくれ、

(おじいちゃんは魔法を使うのが上手だ)

すぐに父さんと母さんに連絡をとってくれた。

数え切れないほど色々な病院にいったが答えは皆同じだった。

 

 

リビングへ行くと、父さんと母さんがおはようの挨拶をした。

二人はいつもと変わらないように振舞っていたが、

どこか嬉しいような困ったような顔をしていた。

僕はこうゆう小さな表情に気が付くのが得意だ。

食卓に座ると、すかさず母さんが

「ホグワーツからの手紙よ」

と言って手紙を僕に渡した。

まさかホグワーツに入れるとは思わなかった。

なにせ僕は人狼の身だ。

今朝の二人の表情の理由がわかった。

「僕なんかがホグワーツに行っちゃっていいの?」

他の生徒を殺してしまう。

そんな僕が。

「母さんもそう思ったんだけどね・・・でもね、リーマス」

母さんは僕の目をまっすぐ見て言った。

「今の校長先生はダンブルドアなの。きっと、なにか、安全策みたいなのがあるのよ」

そして、と母さんが言った。

「あなたは立派な魔法使いになれる可能性をもらったのだから精一杯がんばりなさい」

僕は軽く頷いといた。

 

 

 

いくらダンブルドア先生でもきっと無理だと思う。

「立派な」魔法使いになんてなれやしない。

僕は人狼だ。

 

 

 

だけど

 

 

僕が学校に行っている間、両親は周りの目を気にしなくてすむ。

少なくとも僕が自立出来るようになるだろう。

 

 

 

 

そうして僕はホグワーツに行くことになった。

 

 

 

 

 

そんなことを考えていた僕は隣の村の悪ガキのことなんてこれっぽっちも知らなかった。

 

 

 

 

 


と、いうことで第一話です。リーマス君です。

こーんな感じで続いていきます・・・よ?