悪戯大王コンビが大広間に朝食をとりに行くと、何やら興奮やざわめきで騒がしかった。

「あ、そういや今日、スリザリン対レイブンクロー戦だっけ」

だから今日はやたらレイブンクローとスリザリンが険悪ムードなのか、とジェームズが言った。

「それならお前、今日クィディッチメンバーと一緒に見に行くのか?偵察するために」

グリフィンドールのテーブルについて、サラダを取りながらシリウスが言った。

「たぶんそうなるだろうな…次はスリザリンとの対戦だし」

でも僕としてはシリウスと一緒に行きたいな、とジェームズは心の中で思った。

 

 

「よぉジェームズ!」

ジェームズはグリフィンドール・クィディッチのキャプテン、ウッドに痛いぐらいに背中を叩かれた。そのせいでジェームズは噎せた。

背中を叩かれたのが自分じゃなくて良かった、と思いながらシリウスはジェームズの背中を擦った。

ウッドはそんなやりとりに構わず話を続ける。

「知ってるか?今年のスリザリンのクィディッチ・チームに新しい奴が入ったって!」

「「知らない」」

二人で同時に首を横に振った。

「───きっとスリザリンのことだから、賄賂か何かを渡した、所詮実力のない奴だと思うけどな…。

 しかも、新人のポジションは何だと思うか?」

「シーカー?」

ジェームズが答えた。

「その通り!…スリザリンは勿体ぶって誰だか言わないが、

 もしこいつがヘボだったら、今年もクィディッチ優勝杯はいただきだ!」

それじゃ、試合前に更衣室集合なっ!と言ってウッドは行ってしまった。

ウッドが去ったのを見届けた後、ジェームズが口を開いた。

「スリザリンの新人は誰だと思う、シリウス?」

「去年までスリザリンにいたシーカーはまだ卒業していないからな…たぶん実力はそれなりにはある奴じゃないか?」

「まぁ、誰だったとしても」

ジェームズはトーストにジャムを塗りながら続けた。

「僕が負けるとは到底考えもつかないけどね」

「うん、俺もそう思う」

シリウスもトーストを咀嚼しながら言った。

 

予想通り、スリザリンの箒は全て最新型となっていた。そんなことにはみんな今更驚かない。

しかしグリフィンドール・クィディッチチームのメンバーだけでなく学校中のみんな、その新人シーカーに釘付けとなった。

「まさか…いや、予想はできたかもしれないが───」

ウッドも困惑していた。スリザリンの新人は他の選手に比べて背が小さく、小柄だった。

そして、兄と同じ癖のない黒髪が風にさらさらと靡いている。

 

 

 

 

 

「───まさか、レグルス・ブラックだとは」

 

 

 

 

 

 


〜ここで説明〜

シリウスとレグルスは2歳違い。

ジェームズとシリウスは4年生。レグルスは2年生。

06/09/09