身長高くていいな。

 

 

 

僕は今図書室で、あと少しで手が届きそうで届かない場所にある本を取ろうとしている。

そこに大人の男性のように、骨っぽくて長い指が僕が取ろうとしている本を掴む。

 

「あ」

 

思わず間抜けな声を出してしまった。

「はい。これでよかった?」

にっこりと、その手の持ち主、ジェームズが掴んだ本を僕に手渡した。

「あ、りがとう」

「どういたしまして」

それから僕とジェームズは図書室で一緒に勉強をした。

 

「…ジェームズ、身長伸びたよね」

僕は先ほどのシーンを思い出した。

───自分があんなに苦労していたのにああも易々と…。

「どういうわけか、低学年まで君と同じぐらいだった身長も、いつの間にかシリウスに追いついてしまったよ」

「でも、ジェームズはシリウスに追いついて嬉しいんでしょ?」

「そりゃあもちろん」

ジェームズは朗らかに言った。本当に嬉しそうだ。

「これでもうアイツにチビって言われなくて済むよ」

僕は思わず大声で笑ってしまった。急いで口を閉じたのだが周囲の人に軽く睨また。

ジェームズは人差し指を自分の唇の前に立ててウィンクをした。

 

僕はそれに見惚れてしまった。

 

 

 

ジェームズは身長が伸びて何となく『色気』が増したと思う。

実際ジェームズだって、シリウスほどではないにしろ、ここんとこかなりの女生徒に呼び出しを食らってる。

身長が伸びただけでモテるとは何とも羨ましいことだ(身長だけがモテる要素ではないけど)。

本当にこの二人、ジェームズとシリウスはみんなの憧れだ。

頭が良いけど茶目っ気があって、背が高く、箒に乗るのも上手で、おまけに顔もいいとは…。

神様が二物も三物も、僕の変わりに彼らに与えてしまっている。

「僕もジェームズやシリウスぐらい背が伸びないかなぁ…」

所詮叶わないことだけど。

「こればっかりは努力の仕様がないからなぁ」

遺伝だからね、とジェームズが苦笑した。

丁度その時、図書室の雰囲気が揺れた。周囲の人がそわそわしているような、そんな感じ。

 

 

 

「どうやら我らが王子のお出ましだな」

 

ジェームズはにやりとした。

 

 

 

本棚の間を縫ってシリウスがやってきた。

「ジェームズ、やっぱりここか」

シリウスは軽く溜め息を吐いた。

「───フィルチに仕掛けたヤツ、そろそろ発動するぜ。忘れたのか?」

シリウスはここが図書室だというのに声を低くもせず淡々と喋った。

しかし誰も咎める人はいなく、ただただ彼に見惚れているだけだった。

「オーケー今行くよ」

そう言ってジェームズはシリウスと並んで図書室を出ていった。

その二人の後ろ姿は(髪型を別にして)双子のようにそっくりだった。

 

 


このお題はジェシリを褒め称えているだけの小説だなぁ…(汗)

06/08/19