かわいいな。
グリフィンドール生は───否、学校の生徒や幽霊、絵画の人々、はたまた先生までもが
シリウス・ブラックのことを『格好いい』とか『ハンサム』とか『素敵』とか『美人』とか『寝たい(!?)』……とか言う。
シリウスは僕の目から見ても(誰の目から見たって)恐ろしいぐらい整った顔立ちだ。
生まれはあの『ブラック』だけあって、立ち振る舞いには(本人は気付いていないようだが)自然と上品さがにじみ出ている。
それで頭も良いとくれば当然女子の注目を浴びる。
確かにシリウスは格好いい。何でも出来ておまけに顔も良い。
実際男だってシリウスと付き合ってみたいと思う(でもそんなこと言ったらジェームズに何をされるのかわからない)。
だけど、そんな完璧なシリウスを僕は『かわいい』と思ってしまう時がある。
たぶん、彼をそう思ってしまうのは僕やリーマス、ジェームズぐらいだろう。
そう思い始めたのは意外にも早く、僕が一年生の時だった。
その頃の僕は、無口で無愛想のシリウスしか知らなかった。
その頃にはもうシリウスとジェームズは仲良くなっていた。
シリウスはジェームズと一緒にいるようになってから談話室にいる時間が増えた。
彼らはいつも暖炉から離れた隅のソファに座って、いつもコソコソと何か話していた。
それを見たのは、僕がたまたま宿題に疲れた頭を上げた時だった。
あの、無口で無愛想で『アイス・ドール』と呼ばれているシリウスが───笑っていたのだ。
その微笑みは年相応の笑みで、天使のようだった。
僕は見惚れてしまって、暫く顔をほてらしたまま彼を唖然と見ていた。
そして、僕がジェームズだったらいいのに、と思った。
あの天使のようなかわいらしい笑顔を真正面から見てみたくなった。
当のジェームズは優しそうに微笑み返していた。ジェームズは本当に幸せそうだった。
それが、僕がシリウスを初めて『かわいい』と思った時だった。
男に対して『かわいい』と表現するのは、当の本人にとってはあまり嬉しくないらしい。
よくジェームズがシリウスにかわいいと言うが、シリウスは
「そういう言葉はリリーに言えよ」
とか
「何で俺が『かわいい』なんだよ!」
とか言っているが、実際その時のシリウスの頬はほんのりピンクに染まって、いつもの鋭いまなざしにも威力がない。
それもジェームズが言う『かわいい』に入るんじゃないのか?と思わずにはいられない。
そういうわけで、『格好いい』だけではないシリウスを知っている僕は、他のシリウスファンより優越感に浸るのであった。
なんかわけわかんなくなっちゃった…。
06/08/26