「うわぁっ」

そんな間抜けな声を出して―――穴に落ちた。

 

 

 

* * *

 

 

 

僕は昔から臆病でいじめられっ子だった。

それはここ、ホグワーツに来ても変わらなかった―――が、生まれて始めて『友達』というものができた。

優しいリーマス、頭の良いジェームズ、そして―――『あの』ブラック家のシリウス。だけど、悪い人ではなかった。

ジェームズとシリウスが悪戯コンビとして有名になってまだ三か月とちょっと。

いつも二人といる僕とリーマスの名も広まりつつあった。

リーマスは目立つのを嫌がっていたが、僕はなんだか鼻高々だった。

しかしそれもほんの一瞬、名前が広まったせいでここんとこ最近、

何かといちゃもんをつけられ絡まれることが多くなった。

 

 

 

 

 

 

 

「お前、グリフィンドール一年のペティグリューだな?」

僕はスリザリンの上級生数名に囲まれた。

 

怖い。

 

「…俺の友達がお前の友達のせいで頭が三つに分かれちまったんだ…」

そういえば、シリウスが気に食わないからって魔法を上級生にかけたって言ってたけど―――

―――そんなことしてたのっ!!?

「その変わりとしてお前を少々イタぶっても変りねぇわな…?」

僕は背筋が寒くなった。

ようするに―――僕を殴るのかっ!!?

そう脳で判断したや否や僕はその場を逃げ出した。が、

「うわぁっ」

そんな間抜けな声を出して―――穴に落ちた。

上ではスリザリン上級生が笑ってる。

穴は深く、登って出るのは不可能だった。

 

悔しい。

いつも逃げてばかりで。

 

すると突然、上の笑いがおさまった。誰かと話しているようだ―――

 

 

 

 

 

 

「やぁみなさん、御機嫌よう」

高笑いしていたスリザリン生は振り返りぎょってして俺を見た。

「今しがた、ある友人を探していてね…君達知らないかい?」

スリザリン生の一人が答えた。

「…さぁね。その前に、お前に友達なんていたのかい?

  どうせ、その友達とやらはお前にこびている連中だろう」

「それはお前が引き連れている連中のことか?」

答えたスリザリン生は杖を引き抜いた―――が、もちろん俺の方が早く呪文をかけた。

「エクスペリアームス!」

スリザリン生の杖は高々と浮かび上がり俺の手元に収まった。

「くそっ…!!」

「おやおや、頼みの杖が無くなったようだな…」

スリザリン生はあらん限り俺を睨み付けて吐き捨てた。

「お前だって杖なしじゃ喧嘩も出来ないくせにっ…!

 グリフィンドールに入ったと言っても所詮は『ブラック』だな!

 一年の中でそんなに闇の魔術を使えるのはお前だけだよっ!!」

 

 

 

 

 


続いちゃうんです…

06/03/01