「はい、これあげる」
と、僕の相棒は何か小さい物を僕の掌へと落とした。
* * *
もうすぐ、ホグワーツ卒業間近の僕達七年生は最後の置き土産として
今までで一番最高の悪戯を思案していた。
もちろん、計画の練り場所は七年間決まってここ、僕のベットである。
今日はリーマス、ピーターは先に床に就き、僕とシリウスが後を引き継いだ。
「…俺はやっぱり、最後は誰も見たことないくらいの花火をドッカ〜ンと打ち上げたいな」
「うん。じゃあそれもっと…。あとさぁ…」
と、間近にあるシリウスの顔をちらと見ると―――
「シリウス、いつものピアスは?」
そう、いつも身に着けていた碧玉のピアスがそこにはなかった。
あぁ、それね…と言ってシリウスはポケットに手をつっ込んで、「手ぇ出して」と僕に言った。
僕はシリウスの言葉通りに手を出した。
「はい、これあげる」
と、僕の相棒は何か小さい物を僕の掌へと落とした。
―――それはもちろん、シリウスの碧玉のピアスだった。
僕は呆気に取られていたが礼を言うのは忘れなかった。
「ありがとう…だけど、君はピアス、どうするんだい?新しいのでも手に入れた?」
「いや。俺もうピアスの穴塞ごうと思ってるんだ」
「ええっ!!?」
「なんでそんなに驚くんだよ」
シリウスが怪訝そうな顔で言った。
「もう社会人になるんだし、チャラチャラしたもんは取っ払おうと思ってな…」
「……君に感心したよ、シリウス…
あとはどんな時でもすぐに入ってしまう起爆スイッチをどうにか出来ればもっといいんだけどね」
うっ、とシリウスが詰まった。そんなシリウスが可愛くてくすりと笑ったら、シリウスは軽く僕を睨んだ。
「そう睨むなって…このピアスは僕がちゃあんともらっておくよ」
「…やっぱりお前にあげるんじゃなかった…折角―――」
と言って慌ててシリウスは口を閉じた。
「『折角―――』なんなの?」
僕は意地悪くシリウスに聞いてみた。
「―っもう寝るっ!おやすみっ!!」
シリウスは急に立ち上がり、僕のベットから出て行った。
その時ちらりと見えたシリウスの横顔は―――真っ赤だった。
「そこまで言って教えてくれないのぉ〜?」
にやにや笑いながら杖で無理やりシリウスを引き戻し、僕の目の前に座らせシリウスの耳元で囁いた。
「ねぇ、教えてよシリウス…」
むー、と顔を赤らめて僕を睨んだが観念して一つ、溜め息をついた。
「ジェームズが、幸せになるように」
別にお前じゃなくてもよかったんだけどな!と、急いで付け足して僕のベットから出ていった。
「幸せになるように、か…」
―――あいつが考えている、僕の『シアワセ』とは何なんだろうか。
「僕の幸せは―――」
君がずっと笑っていられること。
実はピアスの話は前から書きたかったのです(* ̄▽ ̄*)
これで3の話と結びつくのです(矛盾してるかもしんないけど:汗)
06/03/11