耳に聞きなれない音が飛び込んできた。

リリー・エバンスにはその音の根源はとうに予測できた。

「…またあの二人…っ!!」

そしてその音した方へ走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「大成功だよシリウス!見ろよこの汚れざまを!!」

「あぁ!昨日徹夜したかいがあったな」

中庭は酷い汚れと臭いとで荒れ果てていた。

その中心には学校一天才で悪ガキのジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックが多くの生徒に囲まれて立っていた。

しかしその遠巻き達は決してその二人には近付こうとはしなかった。

なぜなら二人が先ほど爆破させた『三連発クソ爆弾』の被害にあいたくないからである。

 

「ポッター!ブラック!」

 

ギャラリーを掻き分け、愛くるしい顔立ちをした赤毛の少女が二人の前に立ちはだかった。

「エバンス!」

真っ先にジェームズがリリーに駆け寄った。

「あなた達また変なことしたわね!?何なのよこのクソ爆弾はっ!!?」

「これは僕とシリウスが昨日徹夜して作った『三連発クソ爆弾』さ!」

ジェームズは誇らしげに言った。

リリーはにこにこして言い放つジェームズに呆れて溜め息をついた。

「…とにかく、このことはマクゴナガル先生に報告させてもらうわ」

「そりゃないよぉ〜エバンスぅー」

ジェームズが口を尖らせて言った。明らかに目は笑ってる。

「この分だと一週間はトイレ掃除ね」

いい気味、とリリーは思った。が、

「俺達、最近イイコにしてたからお久し振りにマクゴナガル教授から罰掃除を頂きかったんだよ」

カラカラ笑いながらシリウスが言った。

さすがにこれに我慢ならなくなったリリーは二人に杖を向けた。周りがざわめいた。

「そう早まるなよ、エバンス」

シリウスが言って杖を構えようとしたらジェームズに止められた。

「…いい加減、ジョークにしてはあまりにも程遠いことをするのはお止めになったら?ポッター。それにブラック」

「君が僕と今週の土曜日にデートしてくれたら少しは考えてあげるよ」

にーっこり、とジェームズは笑った。

「俺がエバンスに条件つけたって意味ねぇから悪戯はやめないよ」

にやりと笑ってシリウスが言った。

リリーが杖を振り上げたので、これはまずい、と思った二人はズボンから杖を引き抜こうとした。

 

「ちょ、ちょっとちょっと!ストップストップっっ!!」

 

これから激しいバトルを繰り広げようとした三人の間に鳶色の髪をした少年が割り込んだ。

「「「リーマス!」」」

三人同時にその少年の名を叫んだ。

「ちょっとみんな落ち着いて!ここは公衆の面前でホグワーツのど真ん中だっていうこと忘れてない?」

リリーはつい周りの目を気にしないで、怒り任せに杖を上げたことに恥じて、顔が赤くなった。

「今日はどうしたの、リリー?いつもは怒っても杖は上げなかったのに…」

リリーもどうして今日杖を上げたのかはわからなかったが、とにかくこの二人に胃がムカムカする思いだった。

「…まぁ、誰が説明しなくても予想はつくけど…」

とリーマスは二人仲良く並んでる黒髪の少年達を見て微笑んだ。

その笑顔を見て二人そろってビクッ、と身震いした。

周りの遠巻き達もその氷づけにされそう笑顔を見て思わず後ずさっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの一週間はこんな話で持ち切りとなった。

『リーマス・ルーピンの笑顔は泣く子も問題児も黙る』と。

 

 

 

 

 

 

 


親世代最強はやっぱりリーマス?

06/03/18