薄々と気づいてはいた。
最近、なんかやたらに睨まれる―――あのスリザリンのスネイプに。
「なんか俺に用?」
あまりにもうっとおしくなって直接本人に聞いてみた。
「…何で僕が貴様に用があるとゆうんだ」
この物言いが勘に触った。
「あっそう」
素っ気なく返し、その場を去った。これがスネイプと初めて話したことだった。
最初は自分が睨まれていると思っていたが、
それは俺の勘違いで、その視線はジェームズに向いているのでは?と疑問が沸いてきた。
最近のジェームズはやたらとスネイプに絡むからだ。
「あのさぁ」
「何?」
「俺、ずっと気になってたんだけど、何でジェームズはスネイプにいつも悪戯すんの?」
「…君はスネイプに妬いてるの?」
「バぁカ。そーゆんじゃなくてだなぁ…最近お前、睨まれてない?あいつに」
「確かにね」
ジェームズは不適にもふふっ、と笑った。
「…なんかお前知ってんだろ」
「おっ!流石だねぇ相棒!…まぁ色々あるけど―――とにかく僕もあいつもお互いを嫌っているってゆうことさ」
「なんか納得いかねぇー」
ははっ、と笑われこの話しはここまでとなった。
数日前―――
「やぁスネイプ。こんなトコで何してんの?」
スネイプは条件反射で、杖を話しかけた少年へと向けた。
もちろんその少年もスネイプに杖を突き付けた。
「貴様には関係のないことだ!」
それよりも、とスネイプは付け足した。
「お前こそ、ここで何をしている?」
「僕は君に少し用があるんだ」
にっこり笑ってジェームズが言った。
「…また僕に悪戯を仕掛けるつもりか」
「そうしたいのも山々なんだけど…単刀直入に言わせてもらうと、シリウスにこれ以上近付かないでくれ」
「僕が何時、あいつに近付いた?」
「これは言い過ぎか…シリウスに熱い視線を向けないでくれって言いたかったんだ」
「誰があいつに熱い視線など向けた!?」
スネイプは怒りで顔が熱くなった。
「最近、シリウスを見ていることが多くない?君」
「それは…っ」
これには心当たりがある。
「あのブラック家の長男に生まれていながらグリフィンドールに入り、
お前のような輩と馬鹿なことをしているからだ」
ここでスネイプは自分で言って気がついた。
僕はブラックのことが憧れていた、と。才能が、権力が、財力が。
そんな彼がグリフィンドールに入り憧れもくそもなくなったことに失望し、それを持て余す彼が憎くなっていった。
「だからってね、彼を見ているのは君だけじゃないんだ」
ぞっとするような声だった。
「彼を君のような奴等にさらしたくないんだ。偏見のようなものでも、ね」
それを言って満足したのかジェームズは寮へと足を向けた。
「…何だったんだあいつは…?」
ジェーはヤキモチ焼いてるだけなんですよ、スネイプ君。
06/05/13