「何それ」

「聞いて驚くな、友よ。これは過去にタイム・スリップする道具なのだ」

「そう!そして今夜はそれを試す記念すべき日なのであるっ!」

リーマスは目眩を起こしそうになった。―――タイム・スリップだって?

 

 

* * *

 

 

 

さぁ、これから暖かいベットの中でぐっすり眠ろう、と思いピーターと宿題を終わらせ部屋に入ると、

部屋の真ん中にはどこぞやの国のマンガ(確か青い狸のロボットがでてくる)の

『タイム・マシン』があれば誰だって、「何それ」と言わずにはいられない。

―――むしろツッコまなくては。

「ここんとこ二人でコソコソしていたのは知ってたけど…なんでまたそんな物を」

「「『そんな物』だって!?あぁ、なんと言うことだ!」」

ジェームズとシリウスは二人してそう言って頭を抱えた。

―――それ、二人いっぺんにやられると勘に触るね。

「俺たちを叱る大人達の子供姿が見れるのだぞ」

「ダンブルドアの若々しい姿もね」

ジェームズがにやりと笑って言った。

「で、君達がそれを作った本当の目的は?」

この二人が『大人達の子供姿を見たい』では済まないことを、

僕は4年も共に暮らしてきているのだからいい加減知っている。

「「よくぞ聞いてくれたっっ!!」」

うわっ、またハモってるよお二人さん。

「実はねぇ、僕のじーちゃんが昔、ホグワーツにあるものを隠したんだ」

「それをだな、がめつい俺の祖父が見つけ出したんだが」

「それがシリウスのお祖父さまにはお気に召さなかったらしく」

「我が親愛なるお祖父さまはそれをどっかに隠したっつーわけだ」

「…つまり二人はそれを見つけるためにこれを作ったわけね」

「その通り」

シリウスが答えた。

「だけどねぇ、リーマスひとつ間違ってるよ」

ジェームズがにやりと笑った。

「『二人で』探すのではなく『四人で』探すのだ!」

―――冗談じゃない!!これ以上安眠の邪魔をされて堪るか!!!

「…君達だけでやりなよ…僕は疲れてるんだ」

五月蠅くしたらどうなるか知らないよ?

いつもより周りの空気を10℃下げて言った。

二人はビクッとしてピーターに向き直った。二人の剣幕顔にピーターは怯えていた。

―――ごめんよ、ピーター。だけど僕もう限界…。

二人はピーターをタイム・マシンに乗せようと必死だったし、

ピーターはピーターで乗るまいと必死に暴れていた。

そうしていると三人が思いっきり派手に―――

まさしくタイム・マシンの一番もろそうなところに―――ぶつかった。

 

 

* * *

 

 

「いったい何があったんだ!?どうせおまえらのどっちかが―――

いや、両方か?―――が、何か変な実験でもして失敗したんだろう!!

今先生をお呼びするからおとなしくそこで待ってろっ!!!」

威厳たっぷりに監督生がジェームズとシリウスを睨んだ後、足早に部屋を出て行った。

当の本人達は機械の爆発のせいでプスプスと―――それこそ実験に失敗した科学者のように

―――黒焦げになって行儀良く座っていた。

 

 

三人がタイム・マシンにぶつかっり、機械は大きな音をたてて爆発した。

当然、他の寮生達はみんな起きて何ごとだと部屋から出ては

「なんだ、またあの二人か」という顔で部屋に戻って行くのであった。―みんな慣れたものである。

ピーターも二人と同様黒焦げになったが僕の弁護のおかげで罰則を免れたが、

二人は僕の証明で罰則となった。

 

 

そうこうしているうちにマクゴナガル先生が部屋に入って来た。

―――当たり前だが、たいそうご立腹である。

「……ダンブルドア先生がお呼びです。二人とも黙って私に着いて来なさい。」

『黙って』が幾分か強調されていた。

「「…はい」」

これからは二人にとって長い夜になりそうだ。

 

 

 

 

 


長くなったので続きます…

06/01/09