※これの前に「何それ」を読むことをおすすめします。
「…おいジェームズ」
シリウスがマクゴナガルに気付かれないように距離をとって、声を低くして聞いた。
「…いくらなんでもダンブルドアのお呼び出しとはちょっと度が行き過ぎてんじゃねぇか?」
「僕もそう思った。―――確かに、こんな夜中に騒音をたててしまったことは校則に反するけど…」
「だって俺達、これよりもっとヒドい校則違反だってしてきたんだぜ?
そん時はお呼びだしなんて食らわなかったのに……なんで今回に限って…」
そうこうしてるのうちにダンブルドアの隠し部屋の前まで来てしまった。
「爆発ボンボン!」
マクゴナガルが合言葉を言うと通路が現れた。
―――なんでこんな時に限ってこんな合言葉を…。
それにしても僕もシリウスも初めて校長室に入る。
あと少しで完成する『忍びの地図』では校長室の場所まではつかんでいたが、
さすがに中までは判らなかった。
―――なんせ、あのダンブルドアの部屋である。
「さぁ、二人ともお入りなさい。後でダンブルドア先生がお見えなります。」
マクゴナガルが言い終わったか終わらないかのうちにシリウスは一人で勝手にずんずん進んで行った。
「フィニアス!」
シリウスがいくつもあるホグワーツ歴代の校長の肖像画の、誰もいない額縁の前で叫んだ。
「いるんだろ?魔法界一の裕福で親不孝者のシリウスだ」
僕としては『美形で』という言葉もプラスしたい。
「…久しく見ない顔だったな…親不孝者のシリウス君?」
冷めた目をした老人が出てきた。
「誰だい?」
僕は堪らず聞いた。
「俺の曽々祖父だ。」
「…その顔はポッターの血縁か」
シリウスの曽々祖父が軽蔑するように僕を見た。
―――どうやらこの顔は代々遺伝しているらしい。
「おぉ、もうフィニアスと対面したか。シリウスにジェームズ?」
知らぬ間にダンブルドアが僕達の背後にまわっていた。
「「ダンブルドア先生」」
いちいちシリウスと声がハモるのがおかしい。
「ほっほ!君達は相変わらず双子のようじゃな。」
僕達は互いに顔を見合わせ、にやりと笑った。
「―――さて、今回君達が呼び出されたのは…」
「校則違反の物を作り」
「それを夜中に爆破してしまったから」
ダンブルドアが言おうとしている言葉を先回りして言った。
「愚か者め」
フィニアスが後ろで罵った。
「それもあるんじゃがな、先週『タイム・スリップ防止魔法』をかけようと校内を探索していた時…」
―――あちゃあ、もう先週の時点で気付いてたのか。
「―――これを見つけたのじや」
そう言ってぐしゃぐしゃの封筒を取り出した。
「ジェームズ、これ…」
シリウスが言うのと同時に僕も気付いた。
そう、その封筒には僕のじーちゃんの名前が書いてあるではないか!
「一様、目は伏せといたんじゃが…」
ダンブルドアが続けた。
「シリウスも見る権利があると思ったのじゃ」
―――目伏せてないじゃん。
と、心の中でツッコミをいれて急いで封筒を開けた。
―――これが僕のじーちゃんが隠した、シリウスの祖父が気に食わなかった代物なのだ。
中から数枚の写真が落ちてきた。どの写真もマグルの、動かない写真である。
「あっ!!」
シリウスが写真の人物を見て叫んだ。
―――そこにはシリウスと同じ顔をした美人―――たぶん、シリウスの祖父と思われる人物と、
これまた美人の、金髪の女性が写っていた。
「…どうやら僕のじーちゃんは君のおじいさんとおばあさんの逢引を隠し撮りしたんだね」
しかしシリウスはなんとも言えない―――それこそ最大の秘密をしってしまったように
これまでで見たことがない皮肉な笑いをしていた。
「シリウス、それは…」
フィニアスが言いかけた。顔が見る見る青白くなっていった。
「ジェームズ、これは単なる逢引の写真じゃないぜ…」
黙れ!と、フィニアスがヒステリックに叫んだ。
「この写真は祖父の愛人との逢引の写真なんだ。
だってこのときはもう、祖母という許嫁がいて金髪じゃないんだから!」
本当に『爆発ボンボン』というお菓子が原作であったので
使わせていただきました(笑)
06/01/09