ホグワーツ特急に乗って PART2
僕が思いっきり扉を開けて入ったら鏡の中の少年もどきはビックリしていた。
そして僕もビックリした。
だって、この少年がすごくハンサムだったから!
このハンサム少年は間違いなく僕が鏡の中で見た少年だと確信できた。
(ただの勘だけど)
この少年は名前を名乗りたがらなかったのであえて聞かなかった。
名無し君は最初は無表情でクールビューティーって感じがしたけど
どうやら僕の思い違いだ。
僕と話していくつれにどんどん表情が出てくる。
僕は色々な話しをした。
村のこと、隣町でケンカをしたこと、悪戯のこと・・・。
少年は真剣な眼差しで僕を見ながら聞いている。
おもしろいとこに差し掛かると2人でおおいに笑った。
こいつは無表情より笑ってるほうがいいな・・・。
そう思えてくるとがぜん話しをおもしろくしようとなった。
そして僕のもう1つの発見はこの名無し君の言葉使いがかなり悪いと知ったことだ!
(服装からしてかなりいいとこの坊ちゃんだと思ってたから意外だ)
僕がふっ、と通路を見ると鷲色の髪の少年が
体に似合わず大きなトランクを引きずりながらさまよっていた。
名無し君も僕の視線に気が付いた。
そして「あっ」と声を漏らした。
「知ってる人なのかい?」
「いや、知ってるって言っていいのか・・・」
と、名無し君は意味深に答えた。
「なんか入るとこなさそうだから誘うかい?」
名無し君は大きく、そして嬉しそうにうなずいた。
「僕はジェームズ・ポッター、こっちのハンサム君は
本人が言いたがらないので僕は仮に名無し君と呼ばせてもらってる。君は?」
僕が通路をうろうろしていたらつかまってしまった。
ホグワーツに入ったら誰とも関わらないで過ごそうと思っていたのに。
でも、ホントは嬉しいんじゃないか?
心の中のもう1人の僕が言った。
僕と同じくらいの年(背は僕より低いけど)の少年が僕と友達になろうとしている。
そして9と4分の3番線の入り口で見た少年。
この少年は僕が入ってきてすぐに母親の僕に対する行為を謝ってきた。
駅で見た時よりこの少年は表情が和らいでいる気がした。
これは、何かの縁なのかなぁ・・・。
いちよう、簡単に自己紹介をしておいた。
「ささ、立ち話もなんだから座って・・・」
とジェームズがうながした時、突然後ろから
「あの・・・僕座るところがないんだ・・・一緒に座っていい?」
と、まるっこい少年がすまなさそうに扉を開けて言った。
僕らは改めて自己紹介し合った。(名無し君はあいかわらず名乗らない)
そしてジェームズは僕らが入るまでに名無し君と話していた話しを続けた。
僕は久しぶりにこんなに笑った。
僕はここに来るまでの決意を思い出した。
大丈夫・・・
駅についたらすぐ離れよう・・・
長くこの3人といたら離れられなくなる・・・
もし、僕が狼人間じゃなかったら、
この3人と友達になりたかったなぁ・・・
そんなことを考えていたとき名無し君がジェームズを突っついて低い声で言った。
「おい、見ろよジェームズ・・・気持ち悪ぃ頭の奴がうろうろしてるぞ」
ジェームズが通路に目をやった。
そこには油頭の長髪で土気色の肌をした少年がさまよっていた。
ジェームズはにやりとした。
「いっちょからかうかい、名無し君?」
ジェームズと名無し君は同時に立ち上がって扉を開けた。
ジェームズの手の中には糞爆弾があった。
僕は止めようと思ったがもう2人は行動を起こしていた。
「おい、そこの泥くそ頭。風呂に入ったのは1ヶ月前か?」
名無し君が口悪く言った。
「いや3ヶ月前だろう」
と、ジェームズ。
少年は最初、無視しようとしていたが頭にきたらしい。
杖を取り出しジェームズに呪文を放った。
呪文はジェームズを外し、壁にあたった。壁がシューシュー音をたてた。
「君、僕を殺す気だったのかい?」
ジェームズは怒ったらしく、糞爆弾を投げつけようとした。
やばい・・・
と、僕が止めようと飛び出そうとした時、
「なにをやってるの!?あなた達!!」
大声を上げてコンパーメントの扉から顔を出した少女がいた。
その少女は深みのある赤毛で明るい緑色の目をしていた。
はたから見るとおもしろい光景だろう。
油頭の少年はジェームズに杖を向け、
ジェームズは糞爆弾を投げようとしている格好のまま、
僕は飛び出そうとしたままの格好で少女を見た。
「ここは列車の中よ。ケンカなら列車の外でやってちょうだい」
と、言って扉をピシャっと閉めた。
僕らが唖然としている時にいち早く復活した油頭の少年はそそくさと出て行った。
僕らの脳が正常に働き始めた時、名無し君が言った。
「列車の外でって・・・この上でやれってか?」
僕らは笑った。
やっと親世代が一通りでた・・・(-_-;)