試合開始のホイッスルが鳴らされ選手一同は青空に向かって飛び立つ。

僕は他の選手より高く舞い上がりスニッチを探すことに専念する。

 

「ジェームズ・ポッター!」

 

───きた。

僕はゆっくりと声がした方へ振り向いた。

そこにはもちろん、シリウスと同じ高慢ちきな顔をしたレグルスがいた。

「今日は負ける気がないよ、ポッター!」

はち切れそうな声援の中でレグルスが叫んだ。

「僕だって、君に負ける気はさらさらないよ!」

僕も声を張り上げた。そうじゃないと声援で自分の声がかき消されてしまうのだ。

レグルスは僕を見てにやりと笑った。

何だと思うと、ブラッジャーが僕に向かって飛んできていた。

もちろん僕はそれを避ける。レグルスは舌打ちをした。

「…あと少しで当たりそうだったのに」

「君のそのガラの悪さはスリザリン譲りか?それともシリウス?」

突然どっと歓声とブーイングが上がる。スリザリンが点数を入れたのだ。

しかし今の僕らにそんなことは関係ない。

「嫌なことにスリザリン譲りだよ。あの寮はグリフィンドール並に野蛮だからね」

そう言ってレグルスは飛んできたブラッジャーを避ける。

「シリウスは僕と一緒にホグズミードに行くことを約束してくれたんだ」

レグルスは僕を見下すようにして言った。

「…もちろん、お前抜きでね」

「それは残念だな」

「…全然残念そうじゃない」

レグルスの拗ねた顔があまりにもシリウスに似ていて思わず口を歪めてしまった。

すると、レグルスの目付きが変わり、僕目掛けて突っ込んできた。

最初、僕が笑ったことに怒ったのかと思ったがレグルスの目は僕を見ていなかった。

そこで僕は視界の端で金色に光る物体を見つけた───スニッチだ。

眼鏡のない部分だったので今まで気が付かなかった。

手を伸ばしたがスニッチは下方へと既に飛んでいった。僕はスニッチ目掛けて急降下する。

レグルスも僕の後に続く気配がした。

レグルスは僕に追いつき、抜かされた。さすが最新型箒。

「くっそぉ〜!おらっ、もっと踏ん張れ!このおんぼろ箒っ!」

しかし一向に差は縮まらない。むしろ離されてる?

おいおい負けるなんて堪ったもんじゃない、と思ったその時、ブラッジャーがレグルスに向かって飛んできた。

レグルスはブラッジャーに気を取られスピードが緩む。その隙をついて僕は彼を抜いた。

「…っ、このっ!待ちやがれ!」

レグルスが後方で叫ぶ。声の届き方からしてかなり離されたようだ。

「待てって言われて待つ僕だと思ったの?」

僕は叫びながらスニッチを追いかける。

僕はスピードを緩めることなくブラッジャーや選手の間を縫って行く。

手を伸ばすと届く位置まで追い詰め、僕はスニッチを掴んだ。

競技場は歓声でいっぱいになった。

 


シリウスとジェームズに対するレグルスの態度の違いが書けてすごく楽しい(* ̄▽ ̄*)

レグルスもシリウス並に口が悪かったらオモロイ(笑)

でも兄の前ではブリっ子だといい。

06/09/30