選手が離陸すると同時にグリフィンドール生が歓声を上げながら駆け寄る。
「ジェームズっ!」
シリウスは真っ先にジェームズに走りよって抱き付いた。
「やっぱりお前スゲーっ!!」
そう言ってシリウスはジェームズの頬にキスをした。
「君が応援してくれたおかげだよ」
ジェームズは内心、シリウスが自分に抱きついてキスしてくれたことに驚きながらも、彼の頬にキスを返した。
その後二人一緒に他の選手にもみくちゃにされ、スリザリンへの勝利を喜びあった。
「一瞬、負けるんじゃないかと思った」
宴会を二人で抜け出して、いつものホグワーツで一番高い塔の上で星を眺めていた。
「だってあの最新型箒だぜ?あれにジェームズのおんぼろ箒が追いつくとは誰も思わなかったよ」
「買ってもらった時は最新型だったんだけどなぁ」
ジェームズがぼやいた。
「まぁ兎に角、グリフィンドールの勝利に万々歳だ」
シリウスは満足そうに言った。
しかし、ジェームズはあまり喜んではいなかった。
(レグルスに追いついたのは僕の実力じゃない…ブラッジャーのせいだ)
スリザリンに勝ったのは嬉しいが、レグルスに勝ったとは自信を持って言えなかった。
「運も実力の内って言うだろ?」
シリウスはジェームズの心を読んだかのように言った。
「だから今回はお前の勝ち。折角勝ったんだからもっと嬉しそうな顔しろよなっ!」
そう言ってシリウスはジェームズの背中をバシリと叩いた。
そこでジェームズは今回初めて嬉しそうな顔をした。
ジェームズはふと思い出したことがあった。そしてにやりと笑い、シリウスに一歩近付いた。
「…それじゃあ、僕はもうシリウスに触っていいんだね?」
ジェームズはシリウスの顎を掴んだ。
「───もちろんキスも」
シリウスはにやりと笑った。
ジェームズがシリウスに顔を近付けると彼は抵抗もせずに瞼を下ろした───
「そういうことは誰もいないところでやってくれない?」
あと一センチというところで、侵入者によってそれは妨げられた。
二人は顔を真っ赤にしてぱっと離れ、侵入者を見た。
扉にもたれて腕組みをして、こちらを呆れて見ているレグルスがいた。
「「レグルスっ!何でここにっ!?」」
「二人で同じ言葉を同じタイミングで言わないでよ…」
レグルスはうんざりして言った。二人の異常なほどの仲の良さを見せつけられたのだから無理もない。
「レグルス、何時から此所に…?」
シリウスが改めてレグルスに聞いた。
「ポッターがシリウスに手を出そうとしたところから」
「「あぁ、そう…」」
二人は穴があったら入りたいと思った。
自分達がキスしようとしているところを学校の人に、しかも年下に、さらに悪いことにシリウスの弟に見られたのだから、
さすがの悪戯大王コンビもそう思わずにはいられない。
それに構わず(「構っていたら話が進まないじゃないか!」byレグルス)、レグルスは話を続けた。
「僕、ポッターに宣戦布告しようと思って…あっ、シリウスは別に出てかなくていいよ!むしろ居て欲しいし…」
シリウスが二人の邪魔をしないようにと出て行こうとしたところをレグルスは引き止めた。
そしてレグルスはジェームズを見上げた。目は獲物を狙う獅子のようにギラギラと光っている。
「来年こそはお前に勝ってやる」
「……僕も君にだけは絶対負けたくないね」
ひやりとジェームズは笑った。そんな険悪ムードをシリウスはおろおろしながら見守る。
(やっぱりあの時無理にでも出ていけば良かった…)
と後悔しても後の祭り。
「じゃあね、シリウス。おやすみ♪」
さっきとは別人のような顔でシリウスに別れを告げた。
「あっ、あとそこの眼鏡に襲われるのだけは気を付けてね。僕が胸糞悪くなるから」
「あ、あぁ…」
シリウスはぎこちない笑顔をして弟に手を振りながら、自分の肩を抱こうとするジェームズの手をばしりと叩いた。
(俺って、もしかしてとんでもない奴等と関わってんじゃ…)
と今更気が付いたシリウスだった。
とりあえずクィディッチ編は終了!y(o^ - ^o)yイェイv
まだ続くと思う。
06/10/08